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東京高等裁判所 平成6年(行ケ)60号 判決

大阪府門真市大字門真1006番地

原告

松下電器産業株式会社

同代表者代表取締役

森下洋一

同訴訟代理人弁理士

滝本智之

阿部伸一

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官

清川佑二

同指定代理人

清水英雄

及川泰嘉

吉野日出夫

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第1  当事者の求めた裁判

1  原告

(1)  特許庁が平成2年審判第252号事件について平成6年1月17日にした審決を取り消す。

(2)  訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文同旨

第2  請求の原因

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和58年3月18日、特許庁に対し、名称を「電子部品自動挿入機」とする発明(平成2年2月15日、名称を「基板幅寄せ装置」に補正。以下「本願発明」という。)について特許出願(昭和58年特許願第46262号)をしたが、平成元年12月19日、拒絶査定を受けたので、平成2年1月18日、審判を請求したところ、特許庁は、この請求を平成2年審判第252号事件として審理するとともに、平成3年11月20日、特許出願公告(平成3年特許出願公告第73160号)を行ったが、訴外三洋電機株式会社から特許異議の申立てがなされた。その結果、特許庁は、平成6年1月17日、特許異議の申立ては理由がある旨の決定とともに、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年2月21日、原告に対し送達された。

2  本願発明の要旨(特許請求の範囲第1項の記載)

基板の両端部を保持可能な基板搬送部と、前記基板搬送部を各々近接・離間可能に駆動する幅寄せ駆動部と、基板の幅に関するデータを記憶可能な記憶部と、所定の基板を生産完了後、次の生産予定の基板幅データを前記記憶部から受信可能で、前記幅寄せ駆動部を駆動制御可能で、かつ記憶部のデータと幅寄せ駆動部からの位置検出信号とを比較し、一致時点で幅寄せ駆動部を停止するように駆動制御可能な制御部とからなる基板幅寄せ装置(別紙図面(1)参照)

3  審決の理由の要点

(1)  本願発明の要旨は前項に記載のとおりである。

(2)  昭和57年特許出願公開第206095号公報(以下「引用例1」といい、同引用例記載の発明を「引用発明1」という。)及び昭和43年特許出願公告第19377号公報(以下「引用例2」といい、同引用例記載の発明を「引用発明2」という。)には、それぞれ次の記載がある。

ア 引用例1(別紙図面(2)参照)

(ア) 本発明は……基板寸法の変更に際して迅速にかつ容易に適応し得る自動寸法調整式基板搬送装置を提供しようとするものである(2頁左上欄9行ないし12行参照)。

(イ) 前記のステッピングモータ11を自動的に作動させて可動ガイドレール7を矢印A、A’方向に平行移動させ、被搬送物である基板1の幅寸法に対して両ガイドレール6、7の間隔を適合させる機能を有する自動制御装置60を付設する(2頁左下欄2行ないし6行、第3図参照)。

(ウ) また、可動ガイドレール7が矢印A、A’方向に平行移動したとき、予め設定した基準位置において当接するリミットスイッチ53を設け、これにより、可動ガイドレール7と固定ガイドレール6との間隔(ガイド幅)の原点位置の信号を自動制御装置60に入力させる。

そして、上記の自動制御装置60に対して、磁気カセットテープに入力した基板1の寸法データを与え、第7図のフローチャートの如く自動調整を行わせる(4頁左上欄18行ないし右上欄7行、第3図、第7図参照)。

(エ) 次に、フロー55において、ガイド幅検出用リミットスイッチ53の信号により、可動ガイドレール7の駆動用ステッピングモータ11を制御して、ガイド幅を予め定めた基準寸法にする。そして、磁気テープに入力した基板搬送データ64を与える。被搬送物である基板1の寸法が定まると、これに従って可動ガイドレール7の所要移動量と、先に述べた送り量Dとが定まるので、上記の基板搬送データ64にはこれらの数値を入力しておく。

フロー56においてガイド幅移動量データが設定され、フロー57、58においてガイド幅変更用ステッピングモータ11が適正量だけ回転させられて、基板1の幅寸法に応じたガイド幅調整が行われる(4頁右上欄12行ないし左下欄5行、第3図、第7図参照)。

(オ) 以上説明した作用により、本実施例の装置においては、被搬送物である基板の寸法を変更する際、磁気カセットテープによって基板寸法データを与えれば、自動的にガイドレール6、7の間隔が設定されるとともに、適正な基板送り量が設定されるので、基板寸法の変更に伴う、いわゆる段取り変え作業の労力とロスタイムとを著しく節減することができる(4頁左下欄12行ないし19行)。

イ 引用例2

(ア) 本発明は、直流電動機の電機子が所望の回転数だけ回転を行い、一定回転位置で停止するようにした直流電動機の回転数制御装置に係るものである(1頁左欄15行ないし18行参照)。

(イ) 電動機(M)の回転数を計数する計数手段(1、2、3、5)と、電動機の停止させたい回転数に対応した値を設定する設定手段(7)と、上記計数手段の計数値が上記設定手段の設定値に対応したときに作動する切換手段(F.F、8、R1、SW)と、該切換手段により整流子への給電を断つと共にスリップリングへ直流を給電する給電手段(E)とを具備して成る直流電動機の回転数制御装置(特許請求の範囲、別紙図面(3)参照)

(3)  本願発明と引用発明1とを比較、検討すると、

ア 引用発明1は、前記(2)ア(ア)ないし(エ)の記載からみて、基板1の幅寸法に応じて自動的にガイドレール6、7の幅を変更するもの、すなわち基板を幅寄せするものであって、基板1の両端は、ガイドレール6、7によって保持され、ガイドレール6、7は、基板1の寸法データを与えられた自動制御装置60に制御されたステッピングモータ11によって近接離間し、その間隔は、基板1の幅寸法に適合するものとされ、また、前記(2)ア(オ)の記載からみるならば、所定の基板の生産完了後に、次に生産する基板の寸法データを自動制御装置に与えることにより、ガイドレールの間隔が設定されるものと認められる。

イ 次に、本願発明と引用発明1とを比較すると、引用発明1における「ガイドレール」、「ステッピングモータ」、「磁気カセットテープ」及び「自動制御装置」が、それぞれ、本願発明における「基板搬送部」、「幅寄せ駆動部」、「記憶部」及び「制御部」に相当することは、それらの機能から明らかである。

したがって、両者は、

「基板の両端部を保持可能な基板搬送部と、前記基板搬送部を各々近接・離間可能に駆動する幅寄せ駆動部と、基板の幅に関するデータを記憶可能な記憶部上、所定の基板を生産完了後、次の生産予定の基板幅データを前記記憶部から受信可能で、前記幅寄せ駆動部を駆動制御可能で、かつ記憶部のデータにより幅寄せ駆動部を停止するように駆動制御可能な制御部とからなる基板幅寄せ装置」

である点において一致しているものと認められる。

ウ しかしながら、本願発明は、「記憶部のデータと幅寄せ駆動部からの位置検出信号とを比較し、一致時点で幅寄せ駆動部を停止する」のに対し、引用発明1は、基板寸法データを与えると、ガイドレールの間隔が設定され、ステッピングモータが適正量だけ回転し、ガイド幅が調整される点において、両者は相違するものと認められる。

エ そこで、相違点について検討すると、本願発明の基板搬送部と引用発明1のそれは、いずれも、基板搬送部の駆動部にモータを用い、モータを所要回転数だけ回転させて停止させるものであるが、モータを設定した回転数で停止させるに際し、設定した回転数とモータの回転数とを比較し、両者が一致したときにモータを停止させることは周知(例えば引用例2参照)であるから、本願発明において、「記憶部のデータと幅寄せ駆動部からの位置検出信号とを比較し、一致時点で幅寄せ駆動部を停止する」ことは、当業者が容易に想到しうるものと認められる。

オ そして、本願発明の効果は、引用発明1、2から予測しうる範囲のものであり、格別のものとは認められない。

(4)  以上によれば、本願発明は、当業者が、各引用発明に基づいて容易に発明することができたものと認められるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

4  審決を取り消すべき事由

審決の理由の要点(1)、(2)、(3)アは認める。

同(3)イのうち、本願発明と引用発明1が、基板搬送部を各々近接、離間可能に駆動する幅寄せ駆動部を有する点において一致することは否認し、その余は認める。

同(3)ウは認める。

同(3)エのうち、本願発明と引用発明1が、いずれも、基板搬送部の駆動部にモータを用い、モータを所要回転数だけ回転させて基板搬送部を停止させるものであることは認め、その余は争う。

同(3)オ、(4)は争う。

審決は、本願発明と引用発明1における、「基板搬送部を各々近接・離間可能に駆動する幅寄せ駆動部」の構成の違いを看過し、両者を同一のものであると判断した点及び両者の相違点についての判断を誤った点において違法であるから、取り消されるべきである。

(1)  「基板搬送部を各々近接・離間可能に駆動する幅寄せ駆動部」の構成の違いについて(一致点の認定の誤り、取消事由1)

ア 本願発明の幅寄せ駆動部は、基板搬送部を構成する基板搬入部と基板搬出部を、各々近接、離間可能に駆動するものである。

これに対し、引用発明1における「ステッピングモータ」(本願発明における幅寄せ駆動部に相当)は、2本の連続したレール(「ガイドレール」、本願発明における基板搬送部に相当)のうち1本を単に近接、離間可能に駆動するものであり、例えば、基板の搬入口部分と搬出口部分とを各々駆動させるものではない。このことは、引用発明1における「ガイドレール」が、本願発明の基板搬送部のように各々分離して構成されていないことからも明らかである。

イ すなわち、

(ア) 本願発明の幅寄せ駆動部については、その特許請求の範囲中において、「前記基板搬送部を各々近接、離間可能に駆動する」と記載されており、そこに「各々」駆動するとされていることからも明らかなとおり、駆動される対象である基板搬送部には、少なくとも二つの独立した構成部分が存在するものである。

しかしながら、上記の各々駆動される複数の独立した構成部分が何であるかについては、特許請求の範囲の記載からは明確ではない。

そこで、本願発明の願書に添付した明細書(平成4年8月31日付け手続補正書により全文補正、以下、明細書については同補正後のものを「補正明細書」として引用する。)における発明の詳細な説明の記載を参酌するならば、各々駆動されるとした本願発明の複数の独立した基板搬送部とは、以下のとおり、基板搬入部と基板搬出部のことであることが明らかである。

すなわち、補正明細書における発明の詳細な説明においては、「基板搬送部である基板搬入部5及び基板搬出部6」(4頁14行ないし15行)と記載されており、基板搬送部が、具体的には、基板搬入部と基板搬出部からなることを明らかにしている。また、同説明中においては、「同じ調整を3回、1台の挿入機本体について行う必要があり」(3頁5行ないし6行)、「本発明は上記従来の問題点を解決するもので、基板の幅をデータとして入力しておけば、人の技量や経験にかかわらず、基板搬入部、テーブル、基板搬出部を短時間に基板幅に調節することができる」(3頁11行ないし15行)とも記載されており、「幅寄せ駆動部8からの制御は、基板搬入部5、テーブル2、基板搬出部6に対して行っている」趣旨の記載(別紙図面(1)第1図、6頁17行ないし19行参照)もなされているところである。

(イ) そして、本願発明において、基板搬送部を「各々近接・離間可能に駆動する」ということは、基板を変更する際、基板搬入部と基板搬出部のガイドレールの間隔をそれぞれ独自に制御可能なことを意味する。

(ウ) したがって、本願発明は、少なくとも複数の構成部分からなる「基板搬送部を各々駆動する」点において引用発明1と相違するものである。

ウ しかしながら、審決は、本願発明における基板搬送部を、引用発明1におけるガイドレール6、7と一致するものと解釈し、このガイドレール6、7を近接、離間可能に駆動する点において、両発明が一致すると解したものであるから、審決には、両者の一致点の認定を誤った違法がある。

エ これに対し、被告は、「各々近接、離間可能に駆動」される基板搬送部について、それを上記のとおり「基板搬入部」と「基板搬出部」とは解さずに、「基板の一端部及び他端部を搬送保持する二つの部材」(一対のガイドレール)を指すものと主張している(第3、2(1))。

しかしながら、上記の「各々」とは「多くのものの一つ一つ」「それぞれ」と同義であるから、被告のように解するならば、「一方のガイドレールを近接、離間可能に駆動するとともに、他方のガイドレールを近接、離間可能に駆動する」ことになるが、本願発明における基板の両端部を保持可能な二つの部材は、共に近接、離間可能に駆動されるとは限らない。また、引用発明1の「一対のガイドレール」も、「固定ガイドレールと可動ガイドレール」から構成されており、固定ガイドレールは近接、離間可能に駆動されるものではない。したがって、被告の上記主張は失当である。

また、被告は、補正明細書における記載を理由に、本願発明におけるテーブル、基板搬入部、基板搬出部が同時に幅寄せされるものであり、「各々」に駆動されるものではないと主張する。

しかしながら、被告の指摘する補正明細書における記載は、本願発明において最初の基板を生産するときの動作説明であるために、幅寄せ作業が必要なテーブル、基板搬入部、基板搬出部の移動を一度に行うとしているが、それ以外の連続した機種切換えにあたっては、必ずしも、テーブル、基板搬入部、基板搬出部の移動を一度に行うとはされておらず、「一度に制御できる。」と記載されている(補正明細書6頁17行ないし19行、8頁18行ないし19行)ところである。したがって、被告の上記主張も失当である。

(2)  相違点の判断の誤りについて(取消事由2)

ア 本願発明の基板搬送部と引用発明1のそれは、「いずれも、基板搬送部の駆動部にモータを用い、モータを所用回転数だけ回転させて停止させるものである」が、更に、本願発明は、所定の基板を生産完了後、記憶部からデータ(次の生産予定の基板幅データ)を受信し、そのデータと、幅寄せ駆動部からの位置検出信号(基板搬入部と基板搬出部のガイドレールの現在位置を示す信号)とを比較して、最短の駆動距離をもってガイドレールを駆動する、すなわち、ガイドレールの駆動時間を最短時間に抑え、機種切換えに即応(連続した基板切換えに対応)できるように構成されたものである。これに対し、引用発明1は、基板の寸法を変更する際、基板搬送部のすべてをいったん原点位置に戻してから、ガイドレールの間隔、送り爪の位置変更、送り爪の送り量の調整を行う(ステッピングモータを適正量だけ回転させる。)ものである。

すなわち、引用発明1においては、幅寄せ駆動部(ステッピングモータ)をどのように停止させたらよいのかを考慮するまでの必要がなく、そもそも幅寄せ駆動部を停止させる手段自体がない(すなわち、設定した回転数とモータの回転数を比較して、一致したときにモータを停止させる手段を別途講じる必要はない。)。

また、本願発明は、基板幅の異なる機種に即応した基板搬送部の切換え(連続した基板切換えへの対応)のために、記憶部のデータ(次の生産予定の基板幅データ)と、幅寄せ駆動部からの位置検出信号(基板搬入部と基板搬出部のガイドレールの現在位置を示す信号)とを比較しているのであって、引用発明2のように、単に、所望回転数と計数された回転数の二つの回転数を比較しただけのものではない。

イ したがって、たとえ設定した回転数とモータの回転数を比較し、両者が一致したときにモータを停止させることが引用例2から周知であるとしても、本願発明において、「記憶部のデータと、幅寄せ駆動部からの位置検出信号とを比較し、一致時点で幅寄せ駆動部を停止する」ことは、当業者が容易に想到しうるものではない。

ウ 以上のとおりであるから、本願発明における引用発明1との相違点に係る構成について、当業者が容易に想到しうるものとした審決の判断は誤りである。

エ なお、本願発明は、被告が主張(第3、2(2))するように、パルスの数をもってモータの回転数を検出して、これを所望回転数と比較するものではない。

確かに、補正明細書における本願発明の実施例においては、幅寄せ駆動部を停止させるにあたって、モータの回転数を利用すること、また、この回転数を利用するにあたってはパルス数を検出することが記載されている。

しかしながら、これは、あくまで、記憶部に記憶された基板の幅に関するデータと比較すべき基板搬送部の位置信号を、実質的に検知するためのものであり、モータ自体の回転数を検出することに意義があるのではない。

引用発明2は、前記イのとおり、単に、設定した回転数とモータの回転数を比較するだけのものであり、本願発明は、基板の幅に関するデータと、幅寄せ駆動部からの位置検出信号とを比較するものであって、両者は、その比較する対象を異にする。

また、引用発明1は、前記のとおり、基板の寸法を変更する際、基板搬送部をいったん原点位置に戻し、基板搬送部の間隔等を調整するものであって、位置検出信号を検出する必要がないものである。したがって、引用発明1においては、その駆動制御を、引用発明2におけるような、モータの回転数を検出して所望回転数と比較し、その一致によって停止位置を判定する手段に置き換える必然性はない。

第3  請求の原因の認否及び被告の反論

1  請求の原因1ないし3の各事実は認める。

同4は争う。

審決の認定、判断は正当であり、審決に原告主張の違法はない。

2  取消事由についての被告の反論

(1)  取消事由1について

本願発明における基板搬送部の「幅寄せ」は、基板の両端部、すなわち基板の一端部と他端部を搬送、保持する二つの部材の近接、離間によって行われるものである。そして、幅寄せ駆動部は、基板搬送部を構成する上記の二つの部材を、「各々」近接、離間して駆動させるものであり、また、その駆動方法も、本願明細書の実施例において、「第二制御装置10はテーブル2と基板搬入部5と基板搬出部6の幅寄せ駆動部8に対して一度に行う。」(補正明細書6頁17行ないし19行)とあるとおり、テーブル、基板搬入部及び基板搬出部を同時に幅寄せするものであって、それぞれを別個独立に作動させるものではないから、「基板搬送部」とある要件を、原告主張のとおり、複数の独立した構成部分に分離して解すべき必然性はない。

また、原告が主張するように、基板搬送部が基板搬入部と基板搬出部とからなるものであるとして、これらを各々近接、離間するのであれば、「幅寄せ」を行うことにはならない。

したがって、審決が、引用発明1における「ガイドレール」を、本願発明における「基板搬送部」に相当するとして、本願発明の「基板搬送部を各々近接・離間可能に駆動する」という構成を、引用発明1における「一対のガイドレールを各々近接・離間可能に駆動する」構成と一致するとしたことに矛盾はなく、審決の認定に誤りはない。

(2)  取消事由2について

補正明細書においては、本願発明の実施例について、次のとおり記載されている(6頁4行ないし16行)。

「交流モータ13の起動に伴い、その軸上の円板21は回転し、円板21のスリット22により光電スイッチ23は受光および遮光を繰り返し、その光電スイッチ23の出力が0Vと+5Vのパルス信号Dとなって、第二制御装置10に帰還され入出力部17でその信号を受信し、マイクロコンピュータ15によって、第4図の手順にて演算され、光電スイッチ23によってマイクロコンピュータ15に送られるパルスの数とパソコン12からの基板幅データとが一致した時点で、交流モータ13の起動信号をオフすると同時に、電磁ブレーキ14を励磁してモータ軸上の円板の回転を停止させる。」

これによれば、本願発明においても、パルスの数をもってモータの回転数を検出し、これを所望回転数と比較するのであるから、引用発明2と変わりはなく、そのため、本願発明の「位置検出信号」といっても、直接、ガイドレールの現在位置を表すものではない。

そうすると、本願発明における「記憶部のデータと幅寄せ駆動部からの位置検出信号とを比較し、一致時点で幅寄せ駆動部を停止する」という要件は、「基板搬送部の駆動部にモータを用い、モータを所要回転数だけ回転させて停止させるもの」(引用発明1)において、「その駆動部を、モータの回転数だけ回転させて停止させるもの」(引用発明2)と変わらないものである。

したがって、本願発明における上記要件を、当業者が容易に想到しうるものとした審決の判断に誤りはない。

第4  証拠

証拠関係は、本件記録中の書証目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

第1  請求の原因1ないし3の各事実(特許庁における手続の経緯、本願発明の要旨、審決の理由の要点)については当事者間に争いがない。

また、引用発明1及び2の内容が審決記載のとおりであること、本願発明と引用発明1が、基板搬送部を各々近接、離間可能に駆動する幅寄せ駆動部を有するものであることを除いた部分について、審決記載のとおり一致すること、本願発明と引用発明1との間において、審決記載のとおりの相違点が存在すること、本願発明と引用発明1がいずれも基板搬送部の駆動部にモータを用い、モータを所要回転数だけ回転させて基板搬送部を停止させるものであることについても当事者間に争いがない。

第2  本願発明の概要について

成立に争いのない甲第2号証(本願発明についての特許願書及び願書添付の明細書、図面)及び甲第5号証(補正明細書)によれば、本願発明の概要は以下のとおりである。

1  本願発明は、基板の幅に応じて、自動的に適切な幅寄せ制御を行うという、機種切換えに即応可能な基板幅寄せ装置に関するものである(補正明細書2頁3行ないし5行)。

2  従来の基板幅寄せ装置は、生産対象となる基板の幅に対して、人が目測及び手動により、備付けのハンドル又はそれに準じた治具を用いて、幅寄せ駆動部を前進あるいは後退させて、基板搬入部、テーブル、基板搬出部の幅を合わせていた。

しかしながら、この種の装置では、人がモータのスイッチをオン・オフしてその間隔を合わせるため、どうしても調整者の経験に頼らざるをえないという問題があった。

したがって、基板の幅に対し、適切に前記基板搬入部、テーブル、基板搬出部の幅を合わせるためには、調整者の技量及び経験を必要とするとともに、同じ調整を3回、1台の挿入機本体について行う必要があるため、多品種少量生産、ミックス生産など、近年、機種切換えの頻度の高い生産形態が増えていく状況において、機種切換えに即応できないという問題点を有していた(同2頁7行ないし3頁9行)。

3  本願発明は、このような問題点を解決するため、基板の幅をデータとして入力しておけば、人の技量や経験にかかわらず、短時間で、基板搬入部、テーブル、基板搬出部を基板幅に調節することができるという、機種切換えに即応可能な基板幅寄せ装置を提供することを目的として、要旨記載の構成を採用したものである(同3頁7行ないし4頁8行)。

4  本願発明の実施例を別紙図面(1)に基づいて説明するならば、次のとおりである。

(1)  第一制御装置9と第二制御装置10に接続された記憶部、すなわちパーソナルコンピューター(以下「パソコン」という。)12には、複数種の挿入基板の生産枚数と基板幅に関するデータがそれぞれ入力されている。

(2)  生産開始信号Aが、第一制御装置9からパソコン12に転送されると、パソコン12は、最初に挿入する基板幅のデータを第二制御装置10に転送し、その転送終了と同時に、幅寄せ開始信号を第二制御装置10に転送する。

その信号を受信した第二制御装置10は、信号を出し、幅寄せ駆動部8の交流モータ13に一体化された電磁ブレーキ14を消磁して、交流モータ13を起動させる。

それに伴い、交流モータ13の軸上の円板21が回転し、円板21に設けられたスリット22により、光電スイッチ23が受光及び遮光を繰り返すとともに、オン・オフを繰り返し、そのスイッチの出力がパルス信号Dとなって、第二制御装置10に帰還し、その内部にあるマイクロコンピュータ15に送られる。

マイクロコンピュータ15は、そのパルスと、パソコン12から送られた基板幅データとを比較し、一致したところで、交流モータ13の起動信号を停止させる。

(3)  以上のような動作を、第二制御装置10は、テーブル2、基板搬入部5、基板搬出部6の幅寄せ駆動部8に対し一度に行う。

(4)  幅寄せ完了時に、第二制御装置10は、パソコン12に完了信号Eを送り、それを受信したパソコン12は、第一制御装置9に電子部品挿入機本体1への動作開始信号Fを送る。

挿入の終了した基板がテーブル2から基板搬出部6に搬送されたときに、1パルスの生産カウント信号Gが、第一制御装置9からパソコン12に送信され、パソコン12は、その信号を受信することにより、第5図のように基板の生産数を減算していき、ゼロになった時点で、第一制御装置9に挿入機の停止信号を送信し、挿入機を定常停止させる。

(5)  パソコン12は、次の生産予定の基板に対する枚数及び基板幅のデータを呼び出し、そのデータを第二制御装置10に送信し、上記同様、第5図に示す動作を繰り返す(同4頁10行ないし同7頁14行)。

(6)  そして、最終生産予定基板の生産が完了したところで、パソコン12からは、基板幅のデータHが第二制御装置10に送信されなくなり、生産を終了する(同7頁15行ないし19行)。

5  本願発明の実施例によれば、基板の幅寄せ作業に必要な部分を一度に制御できるので、機種切換えの時間を大幅に短縮させ、生産性の増大に効果を発揮するという作用効果が得られる(同8頁18行ないし9頁1行)。また、本願発明は、調整者の技量及び経験等を必要とせず、多品種少量生産及びミックス生産等の、機種切換えの頻度の高い生産形態に対応できるという作用効果を有する(同9頁13行ないし16行)。

第3  審決取消事由について

そこで、原告主張の審決取消事由について判断する。

1  「基板搬送部を各々近接、離間可能に駆動する幅寄せ駆動部」の構成の違いについて(一致点の認定の誤り、取消事由1)

(1)  原告は、本願発明について、基板搬送部が「基板搬入部」と「基板搬出部」から構成されており、それらに付された各ガイドレールが、幅寄せ駆動部により「各々近接、離間可能に駆動」されるものであるとし、連続した一対のガイドレール全体が駆動される引用発明1とは、その点において一致するものではないと主張する。

(2)  そこで、まず、本願発明及び引用発明1における各基板搬送部の構成についてみるに、本願発明における基板搬送部の具体的内容については、本願発明の特許請求の範囲中に格別の記載がない。しかしながら、前出甲第5号証によると、本願発明における補正明細書の「発明の詳細な説明」欄においては、本願発明の目的、構成、効果及び実施例として、前記第2のとおり記載されているものであり、それによると、上記基板搬送部は、「基板搬入部」と「基板搬出部」からなるものとされていることが認められる。

そうすると、本願発明における基板搬送部は、上記の「発明の詳細な説明」欄の記載を参酌するならば、原告主張のとおり、「基板搬入部」と「基板搬出部」の二つの部分に分離され、それらから構成されているものと認めることが可能である。

一方、成立に争いのない甲第6号証(引用例1)によると、引用発明1におけるガイドレール(本願発明の基板搬送部に相当)は、特に各別の構成部分に分離されていない2本の連続した一対のレールにより構成されているものであり、そのため、そのレール中における基板搬入側及び搬出側が、その位置からみて、本願発明における「基板搬入部」「基板搬出部」に対応するものと認められる。

(3)  その上で、本願発明における基板搬送部の「基板搬入部」「基板搬出部」の各ガイドレールが、原告主張のとおり、本願発明の要旨とする構成においてそれぞれ別個に駆動されるべきものとされているか否かについて検討する。

ア 本願発明の特許請求の範囲第1項においては、「基板の両端部を保持可能な基板搬送部と、前記基板搬送部を各々近接・離間可能に駆動する幅寄せ駆動部と」と記載されており、原告の主張は、その記載における「各々」が、基板搬送部の「基板搬入部」及び「基板搬出部」を指し、上記記載は、基板搬送部の「基板搬入部」「基板搬出部」の各ガイドレールを各別に駆動させることを示す趣旨であるとするものである。

しかしながら、上記記載における「各々」の語句は、複数を表現する名詞を受け、その中の個々の事物を指すものであることが明らかであるが、上記記載部分のほか、本願発明における特許請求の範囲の記載全体をみても、その文言上、「基板搬送部」が、上記のとおり特に複数の独立した構成部分からなるものであることを明示もしくは示唆する部分は存在しないものというべきである。したがって、本願発明の特許請求の範囲の記載において、「各々近接・離間可能に駆動する」との部分を、原告主張のとおり「基板搬送部の基板搬入部と基板搬出部(の各ガイドレール)を各別に近接・離間可能に駆動する」趣旨であると解することは困難といわざるをえない。

そして、上記記載からみるならば、「各々近接・離間可能に駆動」される対象は、その前の語句中において複数を示すものとして明示された「基板の両端部」と解するのが自然であり、そうすると、「各々」とは、「基板の両端部」をそれぞれ保持する基板搬送部の複数の部材、すなわち、基板搬送部における基板両端部の保持部材であるガイドレール自体を指し、また、そのガイドレールの形状、駆動形態については、本願発明の特許請求の範囲の記載全体を参酌しても、格別の限定がなされていないものというべきである。

イ 更に、この点について、補正明細書(甲第5号証)における本願発明の詳細な説明の記載内容についても検討を加えるならば、その内容は前記第2のとおりであって、そこでは、本願発明の実施例における基板搬送部、すなわち「基板搬入部」と「基板搬出部」のガイドレールの幅寄せについて一度に行うものであること(甲第5号証6頁17行ないし19行、前記第2、4(3))、また、生産予定の基板幅が変更される毎に、基板搬送部について、「上記同様、第5図に示す動作を繰り返す」ものであること(同7頁10行ないし14行、前記第2、4(5))、更に、本願発明により、基板搬送部における「幅寄せ作業の必要な部分を一度に制御できる」(同4頁7行、8頁18行ないし19行、前記第2、5)ものであること等が記載されている。

他方、これに反し、同説明中においては、基板搬送部を構成する「基板搬入部」と「基板搬出部」のガイドレールが、それぞれ別個に駆動されるものであること及びその点に本願発明の特徴があることを窺わせるに足りる記載はまったく見当たらず、また、「基板搬入部」と「基板搬出部」とが別個に駆動されるものであること自体についての格別の記載もない。

ウ 以上によれば、本願発明の特許請求の範囲の記載のほか、その詳細な説明の記載を考慮しても、本願発明における特許請求の範囲の記載のうち、「基板搬送部を各々近接、離間可能に駆動する」とある部分については、原告主張のように、基板搬送部を構成する「基板搬入部」「基板搬出部」のそれぞれのガイドレールを各別に制御することまでを記載したものと解することはできず、そこでは、基板搬送部における基板の両端部を保持するガイドレール自体の間隔を、「各々近接・離間可能に駆動する」ことが記載されているにとどまるものと解するのが相当である。

エ そうすると、本願発明における基板搬送部が「基板搬入部」と「基板搬出部」とからなるものであり、引用発明1におけるガイドレール6、7(基板搬送部)が特に分離されていない連続した一対のレールであるとしても、いずれも基板の両端部をガイドレールにより「各々近接・離間可能に」保持、駆動する点において一致するものといわざるをえない。

オ なお、原告は、引用発明1の「一対のガイドレール6、7」は固定ガイドレールと可動ガイドレールから構成されており、「各々」駆動されるものではないと主張するが、一対のガイドレールの間隔が互いに近接・離間される状態を「各々」と表現することも、特に不自然なものとはいえないというべきであるから、原告の上記主張に係る事由が前記認定判断を左右するものとはいえない。

また、原告は、前記イにおいて摘示された、補正明細書における「以上のような動作を、第二制御装置10は、テーブル2、基板搬入部5、基板搬出部6の幅寄せ駆動部8に対し一度に行う。」(甲第5号証6頁17行ないし19行、前記第2、4(3))との記載について、それは、本願発明において最初に基板を生産する際の説明であり、それ以外の場合について触れたものではないとし、それ以外の場合については、テーブル、基板搬入部、基板搬出部を「一度に制御できる」と記載されていると主張するが、同明細書においては、前記イのとおり、最初の生産以外の生産について、「上記同様、第5図に示す動作を繰り返す」とされていることからみても、上記の「一度に行う」との記載が最初に基板を生産する場合についてだけのものであるとすることには疑問があり、更に、前記イで認定のとおりのその余の補正明細書の記載からみるならば、上記の「一度に制御できる」との記載も、基板の生産にあたって、本願発明の基板搬送部における「基板搬入部」と「基板搬出部」の各ガイドレールをそれぞれ別個に駆動させることを示すものとはいえない。

(4)  以上のとおりであるから、本願発明と引用発明1とが「基板搬送部を各々近接、離間可能に駆動する幅寄せ駆動部」について一致するとした審決の認定に誤りはないものというべきである。

2  相違点の判断の誤りについて(取消事由2)

(1)  原告は、基板搬送部における基板の寸法を変更する際、本願発明が、記憶部からの基板幅データと、幅寄せ駆動部からの基板幅データとの比較により、最短の駆動距離をもって幅寄せ駆動部を停止させるものであるのに対し、引用発明1は、基板搬送部のすべてをいったん原点位置に戻した上、ステッピングモータ(幅寄せ駆動部)によりガイドレールの間隔等の調整を行うものであるから、当業者において相違点に係る本願発明の構成を容易に想到しうるものではないと主張する。

(2)  そこで検討するに、本願発明及び引用発明1が、原告主張の点において相違するものであること、しかしながら、両者が、いずれも基板搬送部の駆動部にモータを用い、モータを所用回転数だけ回転させて基板搬送部を停止させるものであること及び引用例2における記載内容が審決記載のとおりであることについては、前記第1のとおり、いずれも当事者間に争いがない。

また、本願発明における基板幅データの比較方法については、特許請求の範囲の記載からは明らかではないが、補正明細書におけるその実施例からみるならば、前記第2、4(1)(2)認定のとおり、基板幅データをモータの回転数に変換し、その回転数と、実際の回転数とを比較して、それが一致した時点においてモータを停止させる方法を用いており、それにより、モータを所定の位置に停止させるものであることが認められる(甲第5号証)。

更に、引用発明2について出願公告がなされた時期、その技術内容等に照らすならば、審決認定のとおり、本出願当時、モータを予め設定した回転数で停止させるにあたり、その回転数と、実際の回転数を比較し、それが一致した時点においてモータを停止させるとするモータの制御技術は、当業者に周知のものであったと認めることができる。

(3)  以上のような周知技術等からみるならば、当業者において、引用発明1における基板搬送部の制御方法に代えて、本願発明における制御方法を採用し、生産予定の基板幅のデータに基づくモータの回転数と、従前の幅寄せ駆動部におけるモータの回転数とを比較して、予定の回転数に合わせて更に幅寄せ駆動部のモータを回転させ、一致したときにそれを停止させる構成とすることには、格別の困難性を見出だし難く、それらについては当業者が容易に想到しえた事項であると認めざるをえない。

そして、このことは、原告が主張するように、本願発明が、基板幅の異なる機種に即応した基板搬送部の切換えを目的として、モータの回転数を比較するものであるとしても、同様というべきである。

(4)  また、原告の主張に係る本願発明の上記構成に伴う作用効果(ガイドレールの駆動時間を最短時間とし、機種切換えに即応しうるとする。)も、本願発明の構成から当然に予測されうる程度のものであり、前記のとおり本願発明の構成を採用することについて格別の困難性が認められない以上、特段のものとはいえない。

(5)  したがって、本願発明と引用発明1との相違点についての審決の判断にも誤りはないものというべきである。

第4  以上によれば、審決には原告主張の違法はなく、その取消しを求める原告の本訴請求は理由がないものというべきであるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 竹田稔 裁判官 春日民雄 裁判官 持本健司)

別紙図面(1)

第1図は本発明の一実施例における電子部品挿入機のブロック図、第2図は幅寄せ機構の制御を示す説明図、第3図は幅寄せ制御装置制御回路のブロック図、第4図は幅寄せ制御フローチヤート図、第5図は機種切換制御のフローチヤート図、第6図は本発明の一実施例における電子部品自動挿入機の幅寄せ駆動部の斜視図である。

1……電子部品挿入機本体、2……テーブル、3……挿入ヘツド部、4……アンビン部、5……基板搬入部、6……基板搬出部、7……テーブル駆動部、8……幅寄せ駆動部、9……第一制御装置、10……第二制御装置、11……電源装置。

〈省略〉

別紙図面(2)

第1図は回路  の一    斜視図、第2図は回路基板の組立  の一例を示す平面図、第3図は本発明に係る基板搬送  の一実施例の斜視図、第4図は第3図のX-X'矢視図、第5図は第4図のY-Y'矢視図、第6図は前記実施例における送9 を説明するための概要的な平面図、第7図は前記実施例のフローチャートである。

1、1'、1"-基板 6-固定ガイドレール

7-可動ガイドレール

11、35-ステッピンダモータ

14-減速機 15、16、17、18、20、36-歯車

21-ラック付スライドシャフト

22-ラック付スライドシャフ・トホルダ

23-送りざおスライダ

24、45、48-エアーシリンダ

26、46-レバー 27-送りざおホルダ

29-送りざお

31-スプラインペアリング

32-スプラインシャフト

37-固定送9爪

38、38'、38"-ダンパ式送9爪

39-基板ストッバ

40、40'、40"-スプリング

43-リニアペアリンダ 51-基板クランプ部

〈省略〉

〈省略〉

別紙図面(3)

〈省略〉

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